音楽雑記

The Hellacopters / Payin' the Dues

Payin' the Dues

1997年10月の2ndアルバムPayin' the Dues。

プロデューサーは1stアルバムに続いてTomas Skogsberg。実際のところはプロデューサーというよりかはエンジニアという立ち位置だったそうです。

わずか2日間で録音した1stアルバムに対し、たっぷり(?)1週間かけてレコーディングされたこのPayin' the Duesは、荒削りな1stに比べて音も幾分整って、勢いや荒々しさはそのままに、バンドが本来持っていた魅力が浮き彫りになりました。

イントロから曲の終わりまで、勢い任せにストレートで押し切る曲が大半の1stアルバムに比べ、You're nothing、Like no other man、Hey、Soulsellerあたりの様な、1曲の中でも緩急をつけるような曲展開をもつ曲が増えたことも大きな変化でしょう。

個人的にHellacoptersサウンドのキモはアレンジの巧みさだと思っています。コード進行もシンプルなものが多いし、ボーカルメロディやギターのオブリも同じようなパターンを使いまわしたりしています。それでもカッコよく聴かせられるのは、バンドアレンジの巧さによるところが大きいと思います。

ちょっと意地悪な言い方をすれば、大したことのない曲もアレンジ次第で聞かせれるようにできる力があるということです。まあロックバンドの強みですね。

 

イントロが2つ

例えば本作収録のHeyという曲を見てみましょう。
まず特筆すべき点は、この曲にはイントロが2つあります。

Hellacoptersの曲にはイントロに全く違う二つのリフを使うパターンがよくあって、代表曲Nowはもとより、このHeyや、Hopeless case of a kid in denial、Carry me home、Envious、Makes it alrightなどで聴くことができます。

大仰なアレンジが多いハードロックやヘヴィメタルの曲なんかでは、珍しくもなんともない構成ではありますが、一般的なパンクバンドやロックンロールバンドにはあんまり見られません。

全く無いというわけでは無いので、パッと思い浮かんだ曲を挙げておくと、DamnedのNew RoseとかLove song、あとはRamonesのBlitzkrieg Bopとかも(Hey Ho Let'goをイントロと捉えれば)イントロ2つタイプの楽曲ですね。

話をHeyに戻すと、16のスネアの連打から始まるリフがイントロ1とすると、ギターだけになるところからがイントロ2となります。

これは限りなく確信に近い推測ですが、作った当初はイントロ2から始まってて、なんか曲の出だしがインパクトにかけるよねぇとなった時に、イントロ1を後から付け足したのだと思います。

普通にイントロ2から始めても曲として成立しますが、頭にイントロのイントロを追加することによって、イントロのイントロらしさが増してよりイントロらしくなって来ますよね。

ちょっと何言ってるかわからないと思いますので図解で説明しますね。

イントロ ヴァース コーラス 間奏 ヴァース コーラス ギターソロ1 ギターソロ2 ブリッジ コーラス

こんな感じの曲構成で、普通はイントロをもうちょっと盛り上げようと思ったら、

イントロの尺を伸ばして、楽器の抜き差しで盛り上げたり

それとも全く違うパートを書き足したりすると思うのですが

Hellacoptersはなんと、ただ単にコーラスパートのバッキングをそのまま頭にくっつければいいんじゃね?ということに気づいたのです。

イントロ1
(コーラス)
イントロ2
(ヴァース)
ヴァース コーラス 間奏 ヴァース コーラス ギターソロ1 ギターソロ2 ブリッジ コーラス

有りそうで無かったこの手法。流石に誰もやっていないというはずはないと思いますが、2、3日考えても前例が全く思いつかず、ただでさえ遅い筆が一向に進まなくなるので、暫定的にヘラコの発明ということにしておきます。

これは使える、と思ったかどうかはしりませんが、この手法を使ったイントロは他の曲でも見受けられます。

そんな省エネ作曲法で作られたためか、この曲の9割はイントロの二つのリフのみで構成されてます。

イントロ1 イントロ2 ヴァース コーラス 間奏 ヴァース コーラス ギターソロ1 ギターソロ2 ブリッジ コーラス
リフB リフA リフA リフB リフA リフA リフB リフA リフB リフC リフB’

事前にきちんと構成を考えて作ったというよりは、二つのリフだけ作って、あとはバンドであーだこーだ言いながらアレンジしていった感じがありますね。よく聴くと最後のリフが転調しているところも侮れません。

また、ヴァースとコーラスの2つのパートにまたがってギターソロを弾くのもこのバンドの特徴ですね。

 

ドレゲン脱退

この頃になるとニッケはEntombedを脱退し、Hellacoptersに専念するようになっていきます。

しかしせっかくニッケがHellacoptersに集中できるようになったところで、2ndアルバムのツアー中にドレゲンがBackyard Babiesに専念するために脱退します。残りのツアーはChuck PounderやMattias Hellbergといったギターリストがドレゲンの代わりを務めました。

ということで1998年の初来日時のギターはドレゲンではなくChuck Pounderでした。

また、アナログ盤のみのボーナストラック(このバンドはこういうことをよくやる)にはSonic's Rendezvous Bandの名曲City Slangのカバーを収録。

さらに1999年にはサブポップから再リリースされた時には、ボーナスCDとして、バンクーバーで行われたライブ音源が付属され、そのアナログ盤だけにはCity Slangを本家Sonic's Rendezvous BandのScott Morganと演奏したテイクが収録(こういうことをホントよくやる。)されています。

3rdアルバム以降は、燻し銀の哀愁ロックンロールバンドへと舵を切っていくので、1stと2ndはいいけどそれ以外は好かんというファンも一定数います。中でもこのPayin' the duesをフェイバリットアルバムに挙げる人も多いのではないでしょうか。


Payin' the Dues

You Are Nothin'
Like No Other Man
Looking at Me
Riot on the Rocks
Hey!
City Slang(アナログ盤のみ)
Soulseller"
Where the Action Is
Twist Action
Colapso Nervioso
Psyched Out and Furious

 

おまけに

たぶん世間一般にはほとんど知られていないバンドのわりに、世界中に無数のHellacoptersフォロワーがいるのもこのバンドの魅力を物語っているでしょう。

まんまPayin' the Duesやん、みたいなアルバムがこの2021年にフランスから突如リリースされたのでご紹介しておきます。

Iron Lizard / Hungry for Action

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