4th album "High Visibility"
このアルバムからギターにRobert Dahlqvist(通称ストリングス)が参加します。前のアルバムの曲のMV、The devil stole the beat from the Lordではギターを弾いている姿がみられますが、アルバムのレコーディングには参加してませんでした。
いわゆる後期Hellacooptersと呼ばれるのはこのアルバムからで(いや3rdは含まないのか、という議論もありますが、ヘラコ好きの友人があれは中期だと言っていたので、私もその意見に乗っかることにします)、爆走ロックとは確実に見切りをつけ、いぶし銀の哀愁ロック路線へと舵を取っていった前作からの路線をさらにブラッシュアップしたような作品ですが、クオリティが段違い。
初めて外部のプロデューサーがついた作品(Thomas Skogsbergはプロデューサーではないとニッケが言っていたので)ということもあってか、前作と比べてアレンジの多彩さや派手さが際立っています。
そのプロデューサーはSahara Hotnights, Millencolin, The Nomadsなどを手がけたChips Kiesbye。ABBAやLed Zeppelin、Ramonesなどが使用したことでも知られるストックホルムのPolar Studioでレコーディングされました。
また、このアルバムに収録されているToys and FlavorとTruckloads of nothin'にはプロデューサーのChips Kiesbyeも作曲者としてクレジットされています。ついでに言うと、A heart without a homeとNo one's gonna do it for youにはケニーが、Hurtin' timeにはおなじみScott Morganの名前がクレジットされています。
一曲目のイントロから今までとは違う、開放弦を使ったギターのアルペジオに始まり、ばばーんとまるでカミナリかのような音のかたまり、どこどこどこどこと16分のタム回しからバンドがビートを刻みだすや否やギターのチョーキングが、ぎょぃ〜ん、と。
もう擬音語だけで表現するしか無くなってきたのでまずは聴いてください。
スピーカーの間から、ありもしないライブの映像が浮かんでくるようなオープニング。
前年にScott Morganと一緒にThe Hydromaticsでさんざんストレートなガレージロックやったからかどうかは知らないが、初期にみられたヴァースとコーラスとギターソロがあればいい、みたいな簡素な作りの曲は少なく、Hopless case of a kid in denial、Sometime I don't know、No one's gonna do it for youのようにヴァースとコーラスに加えてしっかりミドルエイトがあったり
Toys and flavors、Baby borderline、Enviousなどの曲ではAメロ→Bメロ→サビみたいに、コーラスの前にプリコーラスが挟まれて、さらにコーラスでは一度聞いたら二番からはもう一緒に歌えそうなキャッチーなフレーズが用意されている。とにかく細かいアレンジ含めよく練られた曲が多い。
さらにノーザンソウルのアーティストSilky HargreavesのカバーYou're Too Good (To Me Baby)もやってみたり、MC5の2ndに入っていそうなI wanna touchなどと、デトロイトへのリスペクトは欠かさないところもニクい。
そして哀愁路線の極みのような名曲No song unheardも忘れてはなりません。この曲が好きな人は多いはず。意外なところでLuna SeaのベーシストJが人生を変えた曲にあげてたのを聞いたことがあります。
というわけで名曲多数のこのアルバム。
Hellacoptersの作品で最初に聞くならどれがいい?と聞かれたら、私はこのアルバムをオススメします。
この頃のスカンジナビアとヨーロッパツアーには、まだ世界的にブレイクする前のHivesをオープニングアクトとして一緒にツアーしていたようで。
Goodnight Clevelandには2002年のアメリカツアーの様子が収められています。(Gearhead Recordsから出たHigh visibilityのUS盤は2002年リリース)
The Hellacopters - Goodnight cleveland
参加アーティストにはYou're Too Good (To Me Baby)のバッキングボーカルにCharlotte OllwardとKarin Thyr、他にもScott MorganとGlueciferのボーカルBiff Malibuもクレジットされてます。
前者はYou're Too Good (To Me Baby)、後者はHurtin' timesかな?資料が見つけられなかったので自信はありませんが。
この辺りのHellacoptersのサウンドはサザンロックからの影響が強いと言われていますが、当時のインタビューでニッケは、サザンロックっぽいのはA heart without a homeくらいしかないと言って、その影響を否定していました。
しかし、ミュージシャンはインタビューで本当のことばかり話すとは限りません。
一口にサザンロックといっても様々ですが、とりわけHenry Paul Bandなんかを聴いてしまうと、ここから影響受けてないはずがない、と思ってしまいますがいかがでしょうか。ピアノの入り方や、ドラムフィル、ギターソロの感じ、コーラスの一拍半で上昇するギターフレーズなんかは特に。
1 Hopeless Case Of A Kid In Denial
2 Baby Borderline
3 Sometimes I Don't Know<
4 Toys And Flavors
5 You're Too Good (To Me Baby)
6 Throw Away Heroes
7 No Song Unheard
8 Truckloads Of Nothin'
9 A Heart Without Home
10 No One's Gonna Do It For You
11 I Wanna Touch
12 Hurtin' Time
13 Envious
*日本盤にはA Cross For Cain
*アナログ盤1stプレスと2ndプレスにはNo Dogs収録
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